Smith & Mighty - Bass Is Eternal (unreleased)

Smith & Mightyがメジャー・レーベルからリリースすると噂されていた未発表アルバム『Bass Is Eternal』(Eternalは単なる誤植で本来からMaternalだったという説もある)。当時のインタヴューや雑誌記事を見ると、1990年に発売されるという記述があったり、94年にはリリースされるとインフォメーションが出されていたが、契約はそのまま終了となり、陽の目を見ることはなかった。しかし何故か、トラック・リストが今もAmazonのデータベースに残されている(1995年10月5日にポリドールから日本盤が発売される予定だったのか?)。その後、本来のサウンドを取り戻した彼らは、『〜Eternal』に対するダブのような『Bass Is Maternal』を、自身のMore Rockers Recordsから1995年に発表する。
ここでは、Amazon掲載のトラックリストをRob Smithがデータ化していた音源etcから再現し、2月のBS0radioで『Bass Is Eternal』をフル紹介しながら行なったRobへのインタヴュー文字起こしを掲載する。
Bass Is Eternal
1. Remember Me ft. Marilyn McFarlane
2. Something Real ft. Jackie Jackson
3. Learning To Live Again ft. Marilyn McFarlane & MC Kelz
4. Time ft. Felix & Marilyn McFarlane
5. No Reminiscing ft. Jackie Jackson & MC Kelz
6. The Way We Feel ft. Marilyn McFarlane and Felix
7. Evolve
8. Drowning Man ft. Felix
9. Always Be There ft. Marilyn McFarlane
10. Open Your Heart ft. Marilyn McFarlane
11. Maybe For Now ft. Gina Foster
12. Hardly Wait ft. Gina Foster
13. Trains And Boats And Planes ft. Jackie Jackson
14. Bass Is Maternal ft. John Lawrence
1. Remember Me ft. Marilyn McFarlane
レコーディングは93年頃。ffrrのA&RだったPete Tongにこの曲を提案されてカヴァーした。レーベルとの関係が上手くいっていない難しい時期、ロンドンでの録音。1994年にシングルとしてもリリースされたが、残念ながら満足のいくプロモーションが行なわれず、少量のプロモ盤12インチ(リミックス盤との2種)、正規12インチとCDも少数出回ったらしい。
2. Something Real ft. Jackie Jackson
未発表曲。何故かDiscogsにアセテート盤が出品されている。RobもRayも知らず、当時の関係者が勝手にカットした物を出品したのだろうとのこと。
3. Learning To Live Again ft. Marilyn McFarlane & MC Kelz
未発表曲。
4. Time ft. Felix & Marilyn McFarlane
このヴァージョンを下書きにアンダーグラウンドのヴァイブスを注入したのが『〜Maternal』収録ヴァージョン。ちなみに『〜Maternal』ヴァージョンのベース・ラインはMore Rockers「Like A Fire」にも引用されている。
5. No Reminiscing ft. Jackie Jackson & MC Kelz
メジャー契約前の早い段階で作っていた曲で、Jackie JacksonとKelzがヴォーカルを乗せたヴァージョンが正式なもの(BS0radioではインスト・ヴァージョンを紹介)。Marilyn McFarlaneがヴォーカルを乗せたヴァージョンもある。
6. The Way We Feel ft. Marilyn McFarlane and Felix
Robが、Smith & Mighty以前にFostexの4トラック・レコーダーでレコーディングの実験をしていた頃に作った曲(作詞もRob。デモのヴォーカルもRob)。後にRayが聴いて気に入りS&Mの作品として採用されることになった。2009年にRayが未発表ヴァージョンとしてYouTubeに公開している。この後、トラックを変えAlice Pereraのヴォーカルを迎えたヴァージョンが『Big World Small World』に収録。
7. Evolve
『〜Maternal』にも収録。レーベルとの契約の中で強いられた妥協の中でも、自分たち本来の姿を表している、これを軸に『〜Maternal』の世界観が形作られたと言ってもいいくらい2人ともお気に入りの曲。
8. Drowning Man ft. Felix
U2のカヴァーで、メジャーとの契約前に制作。契約末期に映画『Shopping』サントラに使用された。メジャーでリリースされた関係から、『〜Maternal』にはこのヴァージョンを収録できず、Peter Dがダブ・ミックスを加えた別ヴァージョン「Drowning」として収録。この曲のギターとリズム・トラックを逆再生したものが『〜Maternal』収録「Hold On (Strange Mix)」となっている。
9. Always Be There ft. Marilyn McFarlane
R, R & R名義でリリースされた12インチに収録。Rob「Marilynと組んだ中でも気に入った曲だったから、契約の末期にプロモ12インチとしてプレスしようというA&Rの提案に賛成したのだけれど、完成品を見るとラベルには何故か“R, R & R”と印刷されていたんだ。以前“R+R”という変名でリリースをしたことはあるけれど、その理由を尋ねるとブリストル人のアクセントを茶化して付けたということが判った」。
10. Open Your Heart ft. Marilyn McFarlane
この曲のスキャットのリフは、ラストの「Bass Is Maternal」にも印象的にも使われている。
11. Maybe For Now ft. Gina Foster
初期に作った曲で、オリジナルはJessica George(3J's)が歌っていた。本作ではレーベルの意向によりセッション・シンガーのGina Fosterのヴォーカルが採用された。オリジナルのダブ・ヴァージョン「Maybe For Dub」が『〜Maternal』に収録。
12. Hardly Wait ft. Gina Foster
1990年にデモを作成、オリジナルはJackie Jacksonがヴォーカル。Jackie版の一部がMore Rockers Association「Like A Fire」に引用されている。
13. Trains And Boats And Planes ft. Jackie Jackson
1990年に録音。「Anyone」「Walk On」と同じBacharach&Davidによる作品のカヴァー。
14. Bass Is Maternal ft. John Lawrence
『〜Maternal』にも収録(ヴァージョンは不明)。タイトルは2人の友人であるJohn Lawrenceの言葉。Rob「一緒にレイヴに行ったときにエクスタシーでキマッた彼が僕の耳元で『bass is maternal... when it's loud I feel safer』って歌ったんだ。僕らが生まれる前、子宮の中では羊水に包まれて『ブーンブーン』というベース音だけが聞こえているわけで、とても本質的なフレーズで、アルバムのコンセプトにもなった。だからアルバムの写真は広大な海の前に立つこども(Robの息子)で、内ジャケにはスピーカーに手をかざしている子供、そしてMarylin、Ray、そして僕それぞれの子供のエコー写真を使っているんだ」。
Rob「このコンピレーション(敢えてそう呼んでいる)の存在、曲順については全く知らなかった。当時一緒に仕事をしていた誰かが勝手に作ったんだと思う。結局レーベルは契約を終了させたし、アルバムが『Bass Is Eternal』なんて呼ばれていたことも知らなった。ブリストルでレコーディングした曲もあればロンドンでレコーディングした曲もあるけど、誰かがかき集めて作ったんだと思う」。
Jackie Jacksonはメジャーからの指示やプレッシャーに耐えられずに離脱、その後レーベルの紹介でセッション・シンガーGina Fosterが一時期に参加、その後、ブリストルのMarilyn McFarlaneが参加することになった。
Rob「レーベルとの契約はとても難しいもので、とにかくレーベルを喜ばせなければならないし、レーベルが喜ぶものを提出しないとならなかった。だから凄く大量の曲を彼らに渡した。そんな状況だったから、妥協もして当時はコマーシャルな曲も作ろうとした。レーベルとの契約が終わってインディペンデントに戻り、自分たちがやりたかった曲だけをキープし制作したのが『Bass Is Maternal』」。
Rob「DJ DieやKrustたちとは89年頃から違法レイヴによく行っていた。『Open Your Heart』を作った頃(1992〜93年)には音楽的な変化がレイヴにも起こっていた。いくつかの曲はフラット・ビート(4/4)だったけれど、いくつかはブレイクビートを使ったジャングル・ビートだった。その後、このふたつは分かれていくんだけど、この頃はそれが混ざり合っている時期だった。1992年の『Steppers Delight E.P.』の頃はレーベルとの関係も末期症状だったから、もっとアンダーグラウンドで自分たちのやりたい音をやろうと思った。聴けば分かると思うけど、ジャングルの影響が反映されている。だから、他の曲とは違うテイストの曲なんだ。A&Rに聴かせても全く無表情だったけど(笑)」。
レーベルとの関係が上手くいかずにフラストレーションがたまっていた頃、Peter Dとブレイクビートをスピードアップさせたり色んな実験をしていた。ロンドン・レコードとの契約が正式に終わってすぐ自分たちのレーベルを立ち上げた。Rob「Peterとは既に長い間、一緒に仕事をしていたし、Rayはジャングルに僕らと同じような感じを抱いていなかったから、僕とPeterで一緒にやることにした」。
Rob「レーベルとの契約末期には、契約が終わったら音楽を止めようとまで辟易していた。もしこのアルバムが出ていたら、まったく別の状況だったかもしれない。のちにReprazentなども担当するSimon Goffeが、More Rockersレーベルのマネージメントを務めてくれた。彼は元々Smith & Mightyのファンで、『こんなに良い曲が沢山あるんだから止めちゃだめだ』と鼓舞してくれたおかげて現在がある」。
レコーディングは93年頃。ffrrのA&RだったPete Tongにこの曲を提案されてカヴァーした。レーベルとの関係が上手くいっていない難しい時期、ロンドンでの録音。1994年にシングルとしてもリリースされたが、残念ながら満足のいくプロモーションが行なわれず、少量のプロモ盤12インチ(リミックス盤との2種)、正規12インチとCDも少数出回ったらしい。
2. Something Real ft. Jackie Jackson
未発表曲。何故かDiscogsにアセテート盤が出品されている。RobもRayも知らず、当時の関係者が勝手にカットした物を出品したのだろうとのこと。
3. Learning To Live Again ft. Marilyn McFarlane & MC Kelz
未発表曲。
4. Time ft. Felix & Marilyn McFarlane
このヴァージョンを下書きにアンダーグラウンドのヴァイブスを注入したのが『〜Maternal』収録ヴァージョン。ちなみに『〜Maternal』ヴァージョンのベース・ラインはMore Rockers「Like A Fire」にも引用されている。
5. No Reminiscing ft. Jackie Jackson & MC Kelz
メジャー契約前の早い段階で作っていた曲で、Jackie JacksonとKelzがヴォーカルを乗せたヴァージョンが正式なもの(BS0radioではインスト・ヴァージョンを紹介)。Marilyn McFarlaneがヴォーカルを乗せたヴァージョンもある。
6. The Way We Feel ft. Marilyn McFarlane and Felix
Robが、Smith & Mighty以前にFostexの4トラック・レコーダーでレコーディングの実験をしていた頃に作った曲(作詞もRob。デモのヴォーカルもRob)。後にRayが聴いて気に入りS&Mの作品として採用されることになった。2009年にRayが未発表ヴァージョンとしてYouTubeに公開している。この後、トラックを変えAlice Pereraのヴォーカルを迎えたヴァージョンが『Big World Small World』に収録。
7. Evolve
『〜Maternal』にも収録。レーベルとの契約の中で強いられた妥協の中でも、自分たち本来の姿を表している、これを軸に『〜Maternal』の世界観が形作られたと言ってもいいくらい2人ともお気に入りの曲。
8. Drowning Man ft. Felix
U2のカヴァーで、メジャーとの契約前に制作。契約末期に映画『Shopping』サントラに使用された。メジャーでリリースされた関係から、『〜Maternal』にはこのヴァージョンを収録できず、Peter Dがダブ・ミックスを加えた別ヴァージョン「Drowning」として収録。この曲のギターとリズム・トラックを逆再生したものが『〜Maternal』収録「Hold On (Strange Mix)」となっている。
9. Always Be There ft. Marilyn McFarlane
R, R & R名義でリリースされた12インチに収録。Rob「Marilynと組んだ中でも気に入った曲だったから、契約の末期にプロモ12インチとしてプレスしようというA&Rの提案に賛成したのだけれど、完成品を見るとラベルには何故か“R, R & R”と印刷されていたんだ。以前“R+R”という変名でリリースをしたことはあるけれど、その理由を尋ねるとブリストル人のアクセントを茶化して付けたということが判った」。
10. Open Your Heart ft. Marilyn McFarlane
この曲のスキャットのリフは、ラストの「Bass Is Maternal」にも印象的にも使われている。
11. Maybe For Now ft. Gina Foster
初期に作った曲で、オリジナルはJessica George(3J's)が歌っていた。本作ではレーベルの意向によりセッション・シンガーのGina Fosterのヴォーカルが採用された。オリジナルのダブ・ヴァージョン「Maybe For Dub」が『〜Maternal』に収録。
12. Hardly Wait ft. Gina Foster
1990年にデモを作成、オリジナルはJackie Jacksonがヴォーカル。Jackie版の一部がMore Rockers Association「Like A Fire」に引用されている。
13. Trains And Boats And Planes ft. Jackie Jackson
1990年に録音。「Anyone」「Walk On」と同じBacharach&Davidによる作品のカヴァー。
14. Bass Is Maternal ft. John Lawrence
『〜Maternal』にも収録(ヴァージョンは不明)。タイトルは2人の友人であるJohn Lawrenceの言葉。Rob「一緒にレイヴに行ったときにエクスタシーでキマッた彼が僕の耳元で『bass is maternal... when it's loud I feel safer』って歌ったんだ。僕らが生まれる前、子宮の中では羊水に包まれて『ブーンブーン』というベース音だけが聞こえているわけで、とても本質的なフレーズで、アルバムのコンセプトにもなった。だからアルバムの写真は広大な海の前に立つこども(Robの息子)で、内ジャケにはスピーカーに手をかざしている子供、そしてMarylin、Ray、そして僕それぞれの子供のエコー写真を使っているんだ」。
Rob「このコンピレーション(敢えてそう呼んでいる)の存在、曲順については全く知らなかった。当時一緒に仕事をしていた誰かが勝手に作ったんだと思う。結局レーベルは契約を終了させたし、アルバムが『Bass Is Eternal』なんて呼ばれていたことも知らなった。ブリストルでレコーディングした曲もあればロンドンでレコーディングした曲もあるけど、誰かがかき集めて作ったんだと思う」。
Jackie Jacksonはメジャーからの指示やプレッシャーに耐えられずに離脱、その後レーベルの紹介でセッション・シンガーGina Fosterが一時期に参加、その後、ブリストルのMarilyn McFarlaneが参加することになった。
Rob「レーベルとの契約はとても難しいもので、とにかくレーベルを喜ばせなければならないし、レーベルが喜ぶものを提出しないとならなかった。だから凄く大量の曲を彼らに渡した。そんな状況だったから、妥協もして当時はコマーシャルな曲も作ろうとした。レーベルとの契約が終わってインディペンデントに戻り、自分たちがやりたかった曲だけをキープし制作したのが『Bass Is Maternal』」。
Rob「DJ DieやKrustたちとは89年頃から違法レイヴによく行っていた。『Open Your Heart』を作った頃(1992〜93年)には音楽的な変化がレイヴにも起こっていた。いくつかの曲はフラット・ビート(4/4)だったけれど、いくつかはブレイクビートを使ったジャングル・ビートだった。その後、このふたつは分かれていくんだけど、この頃はそれが混ざり合っている時期だった。1992年の『Steppers Delight E.P.』の頃はレーベルとの関係も末期症状だったから、もっとアンダーグラウンドで自分たちのやりたい音をやろうと思った。聴けば分かると思うけど、ジャングルの影響が反映されている。だから、他の曲とは違うテイストの曲なんだ。A&Rに聴かせても全く無表情だったけど(笑)」。
レーベルとの関係が上手くいかずにフラストレーションがたまっていた頃、Peter Dとブレイクビートをスピードアップさせたり色んな実験をしていた。ロンドン・レコードとの契約が正式に終わってすぐ自分たちのレーベルを立ち上げた。Rob「Peterとは既に長い間、一緒に仕事をしていたし、Rayはジャングルに僕らと同じような感じを抱いていなかったから、僕とPeterで一緒にやることにした」。
Rob「レーベルとの契約末期には、契約が終わったら音楽を止めようとまで辟易していた。もしこのアルバムが出ていたら、まったく別の状況だったかもしれない。のちにReprazentなども担当するSimon Goffeが、More Rockersレーベルのマネージメントを務めてくれた。彼は元々Smith & Mightyのファンで、『こんなに良い曲が沢山あるんだから止めちゃだめだ』と鼓舞してくれたおかげて現在がある」。
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