[08] THE WILD BUNCH

雑誌『The Face』掲載 » 記事

これは映像作家Steve Haley(Smith & Mighty『Brain Scan』やmark StewartなどのMVも制作)とNellee Hooperが制作したビデオからのキャプチャー画像(» 動画)。エレクトロのレコードを用いたDJ MIXに合わせ、DJ、MCing、ブレイキング、グラフィティというヒップホップの4大要素を表現した作品。Def Jam系のヒップホップをスクラッチを交えながら荒々しく繋いでいくそのサウンドは、TackheadやMark Stewartの作風にも通じるところがある。
■参考記事
『THE WILD BUNCH: The Story Of A Sound System』対訳
The Wild Bunchが結成されたのは82年の頃だという。かつてRecluse Youthという短命なポスト・パンク・バンドに在籍していたMiles Johnson(DJ Mil'o)とNellee Hooperのふたりが、Milesの出獄 (誰かにハメられて捕まったらしい)後に再会し、その歴史が始まった。Grant Marshall(Daddy G)は、クラブDug OutのDjとして既に知られた存在だった。彼らは、レゲエ、ファンク、エレクトロをごく自然にミックスしていた。彼らのパーティには元Pop GroupのMark Stewartも出入りしていたという。
83年頃、当時はグラフィティのライターとして知られていたRobert Del Naja(3D)が加わり、初のアセテート(≒ダブ・プレート)「Fucking Me Up」を制作する。その後Claude Williams(Willie Wee)、85年にはAndrew Vowles(Mushroom)も加わり、The Wild Bunchはパーティを続け、自分達のサウンドを模索し続ける。
85年には新たなアセテート「Tearing Down The Neighbourhood」を制作。それを受けて正式にリリースされることになった「Tearin Down The Avenue」が「The Look Of Love」とのカップリングで86年、日本からの帰国後に録音される。残念ながらこれは正式発売されておらず(87年にアメリカでリリースされる予定/されたが、回収されてしまった)、彼らのレコードを聴くには88年の『Friends And Countrymen』まで待たねばならない。

1986 / 12" / CBS
1. Looking Good Diving (Extended Version) / 2. Looking Good Diving With The Wild Bunch / 3. Looking Good Diving With The Wild Bunch (Instrumental)
雑誌『Face』などで活躍していたフォトグラファーやスタイリストの集団BuffaloのCameron McVeyとJamie J. Morganのデュオによる唯一のシングル。当時CameronのガールフレンドだったNeneh CherryをフィーチャーしたB面のプロデュースをThe Wild Bunchが担当している。この曲は89年、Tim Simenon(Bomb The Bass)による新ヴァージョンでNeneh Cherry「Buffalo Stance」として発表され、彼女のソロ・キャリアを好発進させた(Nenehは本作tr2にもラップで参加)。以降、CameronはNenehの作品に大きく関わり、また、NenehとともにMassive AttackとPortishead、そしてTrickyの1stアルバムの制作に大きなサポートを与えた。ちなみに、Jamie J. Morganのソロ・アルバム『Shotgun』(90年)には、Cameron、Neneh、Nellee、3D、Mushroomのほか、元Rip Rig & PanicのBruce Smith(Nenehの元夫でもある)とSean Oliverも参加している。

1987 / 12" / 4TH & BROADWAY →DSZ:ストック検索
1. Tearin Down The Avenue / 2. Tearin Down The Avenue (Bonus Break) / 3. The Look Of Love / 4. Tearin Down The Avenue (Instrumental)

1988 / 12" / 4TH & BROADWAY →DSZ:ストック検索
1. Friends And Countrymen / 2. Machine Gun (Down By Law) / 3. The Look Of Love
Milesは日本人女性と結婚しアメリカへ移住、NelleeはロンドンでSoul II Soulの一員として活動を行なっていた88年、グループが実質的に消滅した後にリリース。スリーヴには3D、Nellee Hooper、DJ Mil'o、Mushroomが映っているが、 Daddy Gの姿はない。

2002 / CD / STRUT
1. Wild Bunch live intro / 6. Wild Bunch live - Tearin' Down The Avenue / 19. Wild Bunch live - Double Fresh / 25. Wild Bunch live - Dub Plate Fashion / 26. Wild Bunch - The Look Of Love
DJ Mil'oことMiles Johnsonが当時のサウンド・システムの様子を再現することをコンセプトに選曲/ミックスしたCD。途中に挿入されるThe Wild Bunchのライヴは時間こそ短いものの、当時の雰囲気が伝わる貴重な音源。
» ライナーノーツ対訳


1988 / 12" / MASSIVE ATTACK
1. Any Love / 2. Any Love (Bonus) / 3. Any Love (Inst) / 4. Any Love (Acapella) →DSZ:ストック検索
The WIld Bunch消滅後、Daddy GがSmith & MIghtyとの共同プロデュースでCarlton McCarthy(RestrictionやS&Mにも参加するThe Generalの弟で、後にS&Mのプロデュースでデビュー)をフィーチャー。The Rufus & Chaka Khan「Any Love」をヒップホップ・ブレイクスでカヴァー。メジャー・デビュー後にリリースされたものとは別物。余談だが、90年発表のCarlton『Cool With Nature』収録の「True Colours」で、この曲のフレーズが引用されている。
この他、Eric B & Rakim「Move The Crowd」(1987)のリミックス、TM Network「Passenger -a train named Big City」(1986)に参加している。
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