[06] SMITH AND MIGHTY

3 STRIPE POSSEのレコーディング風景(1987)
1980年代中頃、レゲエ・バンドRestrictionを辞めたRob Smithは、Ray Mightyがキーボードを担当していたバンドSweatのリハーサルを見に行き、バンドに参加することになる。SweatはRay Mighty、Paul Johnson(DJ Miloの兄弟)、Rob Chant、Rob Smith、Charlie Clark、Neil Dunnの6人で、“アポカリプティック”なファンクを演奏するが、ほどなく解散。シーケンサー・ミュージックやビート、サンプリングに興味があるヴォーカリストを探しながら、RobとRayは共同制作をしていく。

1985年、RobとRayは「Brain Scan」というトラックを制作する。これは映像作家であり友人のSteve Haleyとの共同実験で、“映像+音楽”という形のみで1986年に発表された。
Maffia〜Tackheadにも通じるエレクトロなサウンドと、レゲエのバック・ビートにベース・ライン、On-U SoundやDennis Bovell直系のダブ処理、そして上物のアンビエント的でメランコリックな音色は、その後登場する“ブリストル・サウンド”の青写真といえる重要なトラックである。
このトラックは、03年、現存するVHSマスターからRob Smithの手によってリマスタリングされ、Angel's Egg/DISC SHOP ZEROから発売された。


1988 / 12" / 3 STRIPE (SAM111)
1. Anyone ... featuring Jackie Jackson / 2. This Is The Time featuring Krissy Kriss / 3. The Dark featuring Jackie Jackson / 4. I Am The Poet featuring Kellz →DSZ:ストック検索
デビュー作。「Brain Scan」や「Stranger」の実験期間を経て、レゲエ〜ダブの方法論をベースに、ソウル〜ポップスの叙情とドラムマシンの冷たく乾いたビートが奇跡の邂逅を果たした記念すべき一枚。86年、The Wild Bunch「The Look Of Love」のライヴ・セッションを観たRayが「これだ!」と思ったのが、このサウンドに繋がったという。しかも両者ともB.バカラックの名曲カヴァー。ここからが歴史。
カップリングは、「Anyone」トラック上に3P.M.のメンバーによるラップを被せたもの。レゲエにおける“ヴァージョン”的発想といえる。

Garyはセント・ポールズのブルーズ・クラブで「アイルランドのレベル・ソングをレゲエのビートに乗せて」歌っていた。彼はDugoutでMark Stewartに出会い、Adrian Sherwoodに紹介されることになる。

1988 / LP/CD / ON-U SOUND
1. Mind At The End Of The Tether / 2. Half Cut Again / 3. Reality / 4. M.O.V.E / 5. Hard Left / 6. Get This / 7. Man In A Suitcase / 8. What's My Mission Now? →DSZ:ストック検索
本業は盗品ディーラーだったというフーリガン、Gary Clail。85年からシングルをリリースしていたが、アルバムは88年のGary Clail's Tackhead Sound System名義による本作が最初。Mark Stewart『Mark Stewart』との比較はもちろん、trk7でのThe Wild Bunchとの類似性にも注目。Smith & Mighty「Anyone」、The Wild Bunch「Friends & Countrymen」が同じ88年にリリースされたというのは、現在から見れば単なる偶然とは思えない。
CDには「Half Cut For Confidence」「Forget This」が追加収録されている。


NENEH CHERRY - Manchild
1988 / 12" / VIRGIN
1. Massive Attack/ 2. Massive Bonus Beats / 3. Old School Mix / 4. Smith 'n' Mighty Remix / 5. Smith 'n' Mighty More Bass / 6. Buffalo Stance (There's Nothing Wrong Sukka Mix II) →DSZ:ストック検索
Smith & Mighty『Anyone』、The Wild Bunch『Friends And Countrymen』、Daddy Gee and Carlton『Any Love』がリリースされたのと同年にリリースされたNeneh Cherry(元Rip Rig & Panic)のシングル。リミックスにはThe Wild Bunchが消滅したばかりのMassive Attack、Smith & Mightyが参加している。
Massive Attackによるシンプルでスロウな4つ打ちのビートは、The Wild BunchとMassive Attackの流れを理解する中でも重要なトラックといえる。最後にDaddy Gがマイクを持ち「remix Massive Attack... yes...」とトースティングしている。
Smith & Mightyは、「Anyone」系のトラックに、スクラッチによるアタック音やシンセのアルペジオ、ピアノの不協和音を巧みに配し、こちらも彼らならではの世界を構築している。

1990 / 12" / FFrr
1. Do You Dream (Flavour Remix) / 2. Do You Dream (Flavour Edit) / 3. Do You Dream (Rushing Mix) / 4. Come On Back (Mad Professor Remix) →DSZ:ストック検索
アルバム『The Call Is Strong』発売前の先行シングルのリミックス盤。Smith & MIghtyのレーベル3 Stripeは、この曲(のオリジナル版)からメジャー・レーベルFFrr内で運営されることになる。本盤は、Smith & MIghtyによるタイトル曲のリミックス3ヴァージョンと、Mad Professorによる「Come On Back」を収録。
「Rushing Mix」はインストで、その後のブレイクビーツの高速化からジャングル誕生へと発展する中でもキーとなった曲のひとつと言えるだろう(ターンテーブルのピッチを上げてみて)。このアプローチはSmith & Mighty「Killa」(『Steppers Delight E.P.』92年)にも反映されている。
「Come On Back (Mad Professor Remix)」は、彼らしい音を交えながら「これぞラヴァーズ・ヒップホップ」(当時、Smith & MIghtyやMassive Attackの音はこう形容されていた)というべき音を作り上げている。
※この項、後日加筆予定
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Originally put together to show how simple it would be to make effective videos for S&M tunes. This tune was one of the first S&M demos.» 購入/BUY at DISC SHOP ZERO
2014.02.19 10:36
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