Smith & Mighty interview (2000)

Smith & Mighty、2000年の来日インタヴュー。雑誌『LOUD』より。
「ドラムンベースの魅力はなんといっても重低音のベースの音にある。この重低音の凄みを体験した者ならわかると思うが、本当に強烈なベース音というのは腰よりも心臓を「ブーンブーン」と直撃する。特にレゲエやダブからの影響を強く受け、路上のサウンド・システムで鍛え上げられたブリストルのベース音はドラムンベースはもちろん、ムーディーなダウンテンポのブレイクビーツであってもヤワになることはない。それがブリストルで育った証というヤツなのだ。そして、この低音王国で80年代はじめから街角にサウンド・システムを出して、若者たちにぶっといベース音を提供し続けてきたDJチームが3ストライプ・サウンド・システム、現在のスミス&マイティなのである。彼らは街の広場にスピーカーを積み重ね、青空の下で即席のパーティーを開きベースをブンブンいわせてきた。しかも毎年7月になると街から程近いグラストンベリー・フェスティヴァルにサウンド・システムを持ち込み、当時のレイヴ・カルチャー(つまりジャングル・サウンド)の中でベースとドラムの鍛錬にいそしんできたのである。そしてその腕前をブリストルの街角で再び披露することでロニ・サイズなどの若手を誕生させるきっかけを用意したのだった。だから、ロニ・サイズはマッシヴ・アタックよりもスミス&マイティからの影響をはっきりと告白している(エレキング誌17号より)。しかもだ、彼らは80年代の初めから現在に至るまでシングル「エニワン(バート・バカラックのカヴァー)」(88年)と「ステッパーズ・デライト」(92年)そしてアルバム『ベース・イズ・マターナル』(95年)の3作品しか公にリリースしておらず、音楽的には大した成功をおさめていないわけだが、しかしそれでもブリストル・サウンドの中では計り知れない影響力を持った存在なのだ。それはブリストルの路上で彼らのベース音を体験したもの皆が知っていることである。